Q6.どんな問題が起きているの?

セクシュアルマイノリティが、生きづらさを感じているのは何故でしょうか。
それは、パートナーと出会える機会が異性愛に比べ少ないこともあげられますが、それ以上に、周囲や自分自身の持っている「異性愛が当たり前のものだ」という思い込みが原因になっています。

たとえば学校でも、「同性愛者は気持ち悪い」「存在が邪魔」といった言動やいじめがあったりします。
いじめはダメだとは言えても、何故同性愛が変ではないのかを知らなければ、本当の問題は解決しません。
しかし現在の日本における教育は、セクシュアルマイノリティの問題について触れないのがほとんどです。大学の教員養成課程(教師になるためのカリキュラム)にもありません。
性の問題については慎重に論じられるべきと思いますが、人と人とが誤解により傷つけ合わないためにも、それらはおかしなものではないということに教育の中で触れておく必要があると思います。
それによりマイノリティの子は「自分はいてもいいんだ」という自信を持つことができ、またそれ以外の子達も「同性愛は変じゃないんだ」という心構えができていきます。
セクシュアルマイノリティは自分を大切にする心(自尊心)が養われにくく、自暴自棄になったり、自殺を考える場合も少なくありません。
性同一性障害や同性愛者で自殺を考えたことのある人は、その半数以上に上るという調査結果もあります。

また、親子関係においても問題は起きています。
セクシュアルマイノリティの子供にとって親は、「最も身近な存在」でありながら、自分とは違う「異性愛者」という存在です。
そのため、打ち明けてもわかってもらえないのではないか、親子関係が壊れてしまうのではないかと、相談できないことが非常に多くあります。
そんなことで子供に対する愛情は変わらない、という親御さんは、非常に心強くありがたい存在です。
しかし中には、どうしてもその子を受け入れられず、ヒステリーを起こしたり、子供を拒否する親もいます。
その場合は、子供も親も精神的に追い込まれてしまいます。

どっち?

どんなに大人になっても、親からの理解と愛情というものはとても強いものです。
「セクシュアルマイノリティの子は、とても深く親を愛してくれているように思う」とある母親が話していました。
これは、自分でさえ受け入れがたい自分の存在を支えてくれる親の愛情の深さを、その子が知っているからなのではないでしょうか。
多くの親子が、性の違いを越えて強い愛情で結びついていくことを願ってやみません。

これら教育や家族の問題については、いくつかの当事者団体などが問題の解決に向けて、市民レベル・政治レベルで活動しています。
すぐに結果の出ることではありませんが、そういった希望の種があるのは明るい材料です。

その他、医療の現場での差別やセクハラ(性的嫌がらせ)、職業選択での不自由、パートナーの事故や病気などの緊急時の連絡が受けられなかった、扶養や財産・相続などの法律上の問題があります。

他にもセクシュアルマイノリティが直面する問題は多岐に渡りますが、これらの問題の根底には、「男」「女」という性の在り方のみを正しいとする偏った見方があるのです。