Q3.趣味や習慣ではないの?

セクシュアルマイノリティについて、「そんなことはやめて異性と恋愛する方がいいと思うよ」「そのくらい我慢しなさい」とアドバイスを受けることも少なくありません。

しかしここまでで述べた通り、同性愛者をはじめセクシュアルマイノリティは、自然に生まれ、自然に恋をします。自分の意思には全く関係ないので、コントロールすることはできません。
にも関わらず「やめなさい」と言われるのは、同性愛はポルノの世界のもの・悪い趣味という誤った認識や、たばこやお酒などのように努力すればやめられるものだという考えがあるのではないでしょうか。

ピンと来ない方向けに、例え話をしましょう。

あなたは普通の「男性」です。なかなか転職先が決まらずにいたところ、ある会社で最終選考に残りました。
そこで面接官に言われました。「今度のプロジェクトは女性だけの仕事なんだ。女の子として働いてくれるなら雇うよ」
あなたは女性になれますか? 働き続けられますか?

あなたは普通の「女性」です。高名な教授の下、大学で同性愛について研究しています。
ある日教授に言われました。「後天的に同性愛者になるか研究したいから、今後は女性だけと付き合ってくれ」
あなたは同性愛者になれますか? 一生我慢できますか?

ちょっと極端な話ではありますが、おそらくどちらも答えは「No」になると思います。

あなたが男性・女性であることや、男性・女性らしく振舞うこと、異性を好きになることは、あなたが決めていることではありません。努力で変えられるものではありません。
一時的には我慢して自分を偽ることはできるかもしれません。でも、あなたの心が変わるわけではありません。
激しいストレスや違和感を抱えて過ごす人生。そこに幸せはあるでしょうか。
同じことが、セクシュアルマイノリティにも言えるのです。

性に関することは、日本ではタブー視される傾向があります。しかし実際には、人間が生まれ、育ち、生きていく中で、性の問題ほど密接に自分自身に関わってくる問題はありません。
「生」は、「性」を切り離すことができないのです。

「そういう趣味なの?」「治しなさい」「同性愛なんてやめた方がいい」「我慢したらいいじゃない」
ここに来てくれているあなたは、そんなことは言わないかもしれません。
しかし、こういった言葉は、先ほどの例え話のような空想の世界のものではありません。
現実に、多くのセクシュアルマイノリティがかけられたことのある言葉です。

そう言われても