Q2.同性愛は病気や一過性のもの?

少し前まで、同性愛は医学界でも精神的な病気であると認識されていました。
過去には、手術やホルモン注射をしたり、電気ショックによる嫌悪療法などの「治す」試みが実際に行われていました。
しかしそうした治療はほとんどが失敗に終わり、「同性愛は病気や精神障害ではない」という結論を得ることになります。

1970年代のアメリカ精神医学会・心理学会から始まり、1990年にはWHO(世界保健機関)が「国際障害疾病分類」から同性愛を削除することを決議しました。
日本においても、1995年、日本精神神経医学会がこれを尊重し「同性愛はいかなる意味でも治療の対象とはならない」と宣言しています。
現在、同性愛が病気ではないということは、世界の認識であると言えます。

一方で、同性愛は幼児期の体験や心の傷、異性からの暴力によってなるのだとか、思春期特有の同性への憧れだということを言う人もいます。たしかに、そういう場合も全くないとは言い切れません。
ですが、これは「人間は本来、異性に惹かれるものだ」という考えが前提にあります。生物は本能的に雌雄がペアになるものだという考えです。

QA02

しかし、異性愛者の方は誰かを好きになる時に、「この人は異性だから好きになってよい」「子孫が残せるから好きになってよい」という風に考えるでしょうか?
人を好きになるという人間の心理は、もっと自然で、生物学的な本能(種の保存)だけで説明できない面を多く持っています。
同性愛者も、同性を選んで好きになるのではありません。「好きになった人が同性だった」というだけのことなのです。

また、「同性愛が治った例がある」ということを言う人もいますが、異性愛・両性愛・同性愛ははっきりと境界があって分かれているのではなく、行き来する揺らぎがあります。
同性と別れた後に異性と恋をすることも全くおかしくありませんし、逆にそれまで異性と交際していた人が同性を好きになることもあるのです。

もちろん、自然に恋をするといっても同性愛などにはまだまだ偏見が強く、学校でもおかしなものではないと教えてくれる機会はほぼないので、希望が持てず将来を悲観したり、当事者自身が自分を異常だと思いこんで「普通になりたい」と願っていることもあります。
けれどもこれらは病気ではないために、治す方法はありません。治せないものを無理に治そうとし続けることは、激しいストレスと共に自己嫌悪・自己否定を強くさせます。
異性愛者も同性愛者も共に生き、お互いの存在を受け入れていける社会になることが、何よりも大事なことなのではないでしょうか。

 

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