Q8.周りはどんなことができるの?

ここまで、性は多様なこと、それはおかしなものでないことをお話しました。そして、セクシュアルマイノリティは様々な場面で困難に直面することもあるということをお伝えしてきました。
では、性の違いに関わらず、誰もが自分らしくいられる社会にしていくために、私たち一人ひとりにできることはあるのでしょうか?

普段何気なく使っているものや言葉、制度、友人との会話。そういったものを「これでいいのかな?」と見直してみると、意外なほど身近なところに、セクシュアルマイノリティには使いづらいもの、答えにくいものがあるものです。そうした小さな体験の積み重ねが、セクシュアルマイノリティの人の孤独感やストレスに繋がっています。
法律や制度など、一朝一夕で簡単には変わらないこともありますが、セクシュアルマイノリティの人が「ここにもいるかもしれない」という前提で考えることで、個人でもできることも様々出てきます。

例えば、ツイッターやFacebookなどのSNSで、セクシュアルマイノリティに肯定的なニュースをシェアしてみてもいいでしょう。あなたがセクシュアルマイノリティを悪いものとは思っていないことが伝わります。
ホモネタなどでセクシュアルマイノリティをバカにするような発言があった時は、「別に変だと思わないけどな」「私の友人にもいるよ」など、肯定的なメッセージを伝えてみましょう。きっとあなたの言葉を聞いているセクシュアルマイノリティがいます。
友人に同性パートナーがいる場合なら、異性カップルと同じように交流するのもいいかもしれません。例えば、その友人と一緒に買い物や飲みに行く話になった時に、パートナーも誘ってみるなど。
もし子育てやPTAに関わっていたら、話題にしたり、勉強会をすることもできます。子どもがセクシュアルマイノリティかもしれないと悩んでいる親御さんもいますし、これから生まれてくる子や、お友達がそうかもしれません。子どもの個性と心を大切にできる環境を作っていきましょう。
性の多様性に触れられる本は、絵本もあります。家の中でも、子どもの成長に応じて、性の多様性やそれぞれの性を大切にすることを話題にしていきましょう。
学校であれば、トランスジェンダーの子も入れる多目的トイレを用意したり、授業やHRで性の多様性を肯定的に話題にしたり、保健室や教室に関連する本やポスターを置くことで、いざとなったら打ち明けていいんだ、相談できるんだと伝えることができます。
それぞれの仕事や職場でも、例えば福利厚生で異性愛カップルにしか認められていないもの(結婚祝金、家族手当など)を利用できるようにしたり、書類から不要な性別欄を削除するなど、具体的にできることが色々とあります。
医療や福祉の現場では、個人情報に触れることがとても多い中、名前や性別、パートナーのことなど周囲には知られたくないこともあるかもしれません。そうした希望が伝えやすいように、問診票などを工夫することもできるでしょう。

QA08

いくつか例をあげてみましたが、中にはホモフォビアの強い上司や同僚がいて、なかなか発言ができないようなこともあるでしょう。でもここに書いていないことでも、できることがきっとあります。小さな事からでもいいのです。
是非、ちょっと意識して、「いつものこと」「当たり前」を振り返ったり、見直したりしてみてください。
意識が変われば、気付きが生まれます。言葉や態度も自然に変わっていきます。あなたとあなたの周りから、社会は変わっていくのです。

 

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