Q6.どんな問題が起きているの?

セクシュアルマイノリティは、どんな時に生きづらさを感じているのでしょうか。

たとえば学校でも、未だに「おまえホモなんだろ」「気持ち悪い」といった言動やいじめがあったりします。言葉や身体的な暴力、中には性的な嫌がらせを受けることもあります。
その時に教師などの大人に、セクシュアルマイノリティについての知識が何もなかった場合は、そのいじめを止めるどころか、逆にいじめられている側に原因があるといって責めたり、教師がいじめに荷担するようなことも起きています。
ホモやレズという言葉も、単に「差別用語だから使ってはいけない」と指導してしまうと、「やっぱり同性愛は悪いことなんだ」「人に言ってはいけないことなんだ」と勘違いさせてしまうことにもなりかねません。言葉そのものではなく、相手をバカにしたり、蔑んだりする態度に対してきちんと指導していくことが大切です。

ところが、現在の日本における教育は、セクシュアルマイノリティの問題について触れないのがほとんどです。学習指導要領にも記載はありません。
その結果、教員を対象に実施されたある調査では、4割近い先生が「同性愛になるか異性愛になるかは本人の選択によるものだ」と回答し、「わからない」という回答と併せると、なんと7割に達しました。性的指向は本人が生まれ持ったもの、選べないものであることを知らないため、本人に責任があると思ってしまうのです。

また、親子関係においても問題は起きています。
セクシュアルマイノリティの子供にとって親は、「最も身近な存在」でありながら、自分とは違う「典型的な異性愛者の男女(だろう)」という存在です。そのため、打ち明けてもわかってもらえないのではないか、親子関係が壊れてしまうのではないかと、相談できなくなってしまいがちです。実際に縁を切られてしまうようなことも起きています。
また相談を受けた親も、周囲に相談できず悩んでしまったり、反対に何とか力になろうと考えすぎて、子どもが自分の性のあり方を見つける前に治療などを進めようとするケースもあります。

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他にも、医療の現場での無理解やセクハラ、職業選択での不自由、職場での結婚ネタや嫌がらせ、同性パートナーの緊急時に連絡が受けられなかったり扶養ができない、高齢になった時に身寄りがないなど、枚挙にいとまがありません。
このような様々な問題に直面しているセクシュアルマイノリティは、メンタルヘルスが悪化してしまうことも多く、同性愛や性同一性障害の人を対象にした調査では、半数以上の人が自殺を考えたことがあると回答しています。

こうした問題の根底には、「異性愛の男女」が前提の社会制度や、それ以外の性のあり方を認めないという偏った見方があります。
人と人とが誤解により傷つけ合わないためにも、より開かれた制度作りを進めていくことや、性の多様性をもっと学校や家庭の中で伝えていく必要があるのではないでしょうか。そしてまた、セクシュアルマイノリティのことだけではなく、一人ひとりが自分と相手の性を大切にするということを、きちんと伝えていくことが重要ではないでしょうか。

いくつかの問題については、当事者団体などが問題の解決に向けて、市民レベル・政治レベルで活動しています。自分らしく生きることや、様々なライフスタイルを示してくれるセクシュアルマイノリティの人たちも増えてきました。
それでも、マイノリティが特別なものではない社会になっていくためには、マイノリティだけでなく多くの人達の応援と協力が必要なのです。

 

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