Q5.セクシュアルマイノリティはどのくらいいるの?

海外でも日本でも、1980~1990年代に同性愛などについていくつかのアンケート調査が実施されたことがありました。
これらの調査は性的指向について質問したものでしたが、「自分を同性愛者と思う」「同性と性的接触をしたことがある」という人は全体の3〜5%、10%程度となっており、「同性に対して性的に惹かれたことがある」という回答では20%まで上昇します。

近年では性的指向だけでなく、LGBTや性的マイノリティという概念で調査が行われるようになり、2018年に電通ダイバーシティ・ラボが実施した調査ではLGBT層は8.9%となりました。
また、2019年には厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所が主体となって大阪市で調査が行われました。その結果速報では、LGBTとA(アセクシュアル。恋愛感情を抱かない人)が合わせて3.3%、さらに性的指向について決めたくない・決めていないという人を含めると8.2%となりました(この調査は現在さらなる集計と分析が行われています)。

実際には、「どのくらいいるのか?」という問いに対する正確な答えを出すことはとても困難です。
先にお話したように、10人いれば10通りの性があります。性は境界の曖昧なものなので、どこからをセクシュアルマイノリティとして捉えるのかという問題もあります。
自分はおかしいと思っているセクシュアルマイノリティもいるので、そういった人が調査に際して答えられないことも考えられます。

ただ、前述のアンケート調査の結果から、どんなに少なく見積もってもクラスに1人はセクシュアルマイノリティが存在している、ということが言えると思います。

QA05

そう言われても、会ったこともないという方も多いでしょう。セクシュアルマイノリティの人は、周囲に自分の性のあり方を打ち明けていない人がとても多いので、会っても気付かないのも当たり前のことなのです。
あなたが知らないうちに、あなたもきっと出会っていたことでしょう。その時にあなたはどんな会話をしていたでしょうか。

ところで、セクシュアルマイノリティが集まりやすい場所というのもあります。たとえば新宿二丁目が有名です。
このために「セクシュアルマイノリティは都会にいるものだ、地方にはいない」という思い込みをしている人が少なくありません。

たしかに、都市部に比べ伝統や慣習が強い地方社会は彼らにとって暮らしやすい場所ではなく、住み慣れた土地を離れ、都会へ出て行く人が後を絶たないのは事実です。
しかし「性」は生まれながら自然に持っているものであり、人は場所を選んでこの世に生まれてくるのではありません。日本中、世界中、どんなカップルの元でも、セクシュアルマイノリティは生まれ、生きています。
無理に故郷を出て行かなくてもいいような、安心して暮らせる、そして帰れる地域作りが進んでほしいと感じます。

同性愛者などのセクシュアルマイノリティも、異性愛者と何ら変わりない「人」です。どこに生まれ育っても、どこで暮らしていても、人はみんな幸せになる権利を持っているのです。
現代を生きる私たちは、もう、そのことを知っているはずです。

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